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奥行臼駅逓 [旅行・出張]

2013年5月4日
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コミケ84新刊『Rail Cruising vol.3 北海道の廃駅』にも掲載したJR標津線の奥行臼駅跡です。


今回はこの奥行臼駅前にある奥行臼駅逓をご紹介しましょう。
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『駅逓』というのは北海道独自の制度で、北海道内の交通網がまだ未整備だった時代に
旅人のための宿泊所や人や馬を貸し出していた場所で、現代で言うと道の駅と言ってもいいのでは
ないでしょうか。
北海道開拓時代である明治時代に道内に数多く作られましたが鉄道の整備の進捗とともに役目を
終えていき、戦後すぐの昭和21年に制度すら廃止されていまいました。

さてこちらの奥行臼駅逓は明治43年開設、昭和5年廃止となっています。
大正14年には厚床~中標津間の殖民軌道が開通、駅逓廃止後の昭和8年に標津線が開通します
のでこの時期には役目を終えたと判断されたのでしょう。

ただ駅逓廃止後も旅館として利用され、更に昭和50年代中頃まで代々この駅逓所を管理していた
一族の方が居住されていたそうで保存状態はかなり良好とのことです。


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奥行臼駅逓の建物は開設当時のものではなく、手前側が明治末期に建設された建物を
昭和16年に改築した切妻棟、その奥が大正9年に増築された部分だそうです。


それでは中に入ってみましょう。
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入口に掛けられていた昭和35年当時のタバコの価格表。
安いのか高いのかサッパリわかりませんw


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館内見取図。
中々広いですね。


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管理人さんが出してきて見せていただいた太平洋戦争時の東條首相(陸相兼任)の感謝状。
国防資材供出の感謝状だそうですが『国防資材』とは軍馬、つまり馬だそうです。


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それでは室内へ。
こちらは茶の間。


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居間。
板張りの床に囲炉裏が見えます。


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1階客室。
旅館というよりも昔ながらの民家という感じの懐かしい雰囲気です。


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一部の客室はこのように資料展示室になっています。


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古民家特有の急な階段を上がって2階へ・・・。


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2階客室。
こちらも懐かしい雰囲気いっぱいです。
この畳の上に寝そべってただ無為な時間を過ごしてみたい・・・w


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なお客室には色々なランクの部屋があったそうで先程の2階の客室のような明るく広い外廊下が
付いた部屋は室料も高く、逆にリーズナブルな部屋はこのような1階の板壁の狭い部屋だったそうです。


ここには戦前期に使われた色々な道具類も数多く保存、展示されています。
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こちらの蓄音機はスピーカー部分が木製で珍しいものだということ。


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戦前の乾電池。
かなり大型です。一体何に使ったのでしょう?


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桐箪笥。
今も昔も高級品です。


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こちらの足踏みミシンも珍しいシロモノなんだそう。
管理人さん曰く「見学者に指摘されて初めて分かった」のだそう。

展示品は他にもたくさんあります。


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外には馬小屋等駅逓附属施設も残っています。


と、こんな感じで紹介してみました。
奥行臼駅跡見学の際にはすぐ近くですので是非、と言いたいところですが、
駅逓の建物の老朽化が激しいらしく大規模な修理工事を行うそうです。
今年度よりその準備に入るようで駅逓内部の見学を修理工事が完成する平成30年度まで
中止するようです。
また、常駐の管理人さんがいなくなることから奥行臼駅の内部も見学できなくなるとのこと。

詳細は別海町役場のHPを参照してください。




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